書店と観光
昨日は先にモロッコ入りしていた先輩にラバトを案内していただいた。
まず通信会社の人にSIMに通信料をチャージしてもらう。モロッコはプリペイド方式で、5ギガが100DH(1DH≒11.7円)でチャージできる。安い。私が使ったのは空港等でSIMを無料配布している(ただしパスポートの写真と引き換え)inwiというところで、20DH分の通話も付いてくる。今のところ都市部だけ動くぶんには十分そうな使用感だ。
近くに土曜も開いている書店があったので寄る。カウンターに荷物を預ける方式だった。研究関連で欲しかった本が置いてあり、22DHだったので即購入決定。古典は著作権フリーなのもあってか非常に安い。型押しと金色の彩色がされているハードカバーの本も、小型なら30DHからあるようだ。逆に漫画(日本の漫画の英訳版)はかなり高く、進撃の巨人が1冊200DH強で売られていた。日本で言うアメコミみたいな立ち位置か。ほかにワンピース、BLEACH、DEATH NOTE、FAIRY TAIL、東京喰種、神の雫(!)なども置いてあった。
その後トラムでムハンマド5世廟へ。トラムは一律6DH。カバー範囲はやや頼りなく、京都市営地下鉄のような感じ。ただラバト自体歩いて回れない規模ではない。旧市街と主要な商店・施設は5キロ四方くらいに収まっている。
ムハンマド5世はモロッコを独立に導いた王で、その廟は20世紀のものと思えないほど絢爛豪華だ。
ドームがステンドグラスになっているのは初めて見た。
棺を見下ろす形になるのは問題ないのだろうか……。奥にクルアーンが開かれているのが見える。
タイルは柄として彩色されているのではなく、切り分けられた小さい単色タイルが貼り合わされており、手間が惜しまれていないのが分かる。
モロッコは王権が非常に強い立憲君主制の国で、その当否はともあれ伝統技術が維持されているという側面があるように思う。写真には写っていないが、廟の四隅や入り口には伝統衣装に杖やマスケット銃を携えた衛兵が立っていた。厳しい雰囲気とは裏腹にフレンドリーで、退屈しのぎに話しかけられるなどした。
そこから2kmほど足を伸ばしてシェラと呼ばれるローマ遺跡へ行った。まだ街の距離感を掴まないまま先輩にリクエストしてしまい、大変申し訳なかった。この日の最高気温は29度と日本の真夏より涼しく湿度も低めだが、日差しがきついのでかなり疲れる。ただ、交差点などに日本ではあまり見ない木が生えていて、みっしりした木陰を提供してくれる(写真)。
30分弱歩いてようやくシェラに辿り着いた。案内はフランス語とアラビア語のみでここでも語学の必要性を痛感させられる。先輩に訳していただいたりグーグル翻訳を使ったりしたところによると、ローマ時代の都市の跡で、広場、パン屋、服屋、公衆浴場があったことが分かっているらしい。遺跡の中をかなり自由に歩き回れるのが楽しかった。
廃墟になっている遺跡ってどうしてこんなにわくわくするんだろう。
遺跡の近くにはマリーン朝(13-15世紀)の王の墓もあり、テンションが上がる(高校の世界史ではまず扱われないが、この地域のイスラームに大きな変化が出た時代の王朝なのでもっと知名度が上がってほしい。Wikipediaでは一番面白い部分が時代遅れな見解で切り捨てられているので、いずれ編集したい)。
棺の跡。
マドラサの跡。
荒廃した廃墟に当時の装飾が一部残っているのが非常に良く、脳汁が溢れてくる。ミナレット(塔)の上にコウノトリが巣を作っていた。
この日はたくさん歩いたので夜には眠くなり、時差ボケが一瞬で直った。観光地については別の機会にまたまとめようと思う。